企業経営上のリスク

    会社を経営していく上では、労働諸法令を遵守することが必要です。

   しかしながら、労働時間、休日、未払い賃金、有給休暇、そして解雇や雇止め等法律に違反

   したままの状態が散見されます。

   最近の情勢として、労働組合(ユニオン)や弁護士に依頼して、そういった法律違反に対して

   多額の金銭を請求してくる、いわゆる『労使紛争』が激増しています。

   従業員一人にその請求を認めると、「もらえるものなら自分も」、となって全従業員に波及しか

   ねません。

   その額は経営に影響するほどになることも・・・・・。

   これが『企業経営上のリスク』です。

   ここでは、解雇についてご説明いたします。

                                     

解雇は人の人生を左右するほどのことなので、厳しく制限されています。

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効とする」 労働契約法第16条

一方、どんな社員も、社員が何をしようと解雇できなければ会社の経営は成り立ちません。また会社の経営が思わしくない場合、会社をつぶして雇用を守れるわけがありません。 大事なことは本当に解雇が必要であるか、そうであればどのようなルールに従うべきか、きちっと精査することです。

 解雇の法的位置づけ

解雇に関してはいくつかの法律が関係します。そのためその解釈や対応に失敗する例が多くみられます。  
   

1、労働基準法
<20条>
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。・・・・

よくこの条文を見て、30日分の給与を払えば解雇できると勘違いして、解雇してしまうケースが多々あります。 その前提に下記条文があります。

旧<第18条の2>
解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効とする。
 
    

2、労働契約法

<第16条>
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効とする」 
      

3、民法

<第627条>
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをするっことができる。この場合において、雇用は、解約の申入れ日から2週間を経過することによって終了する。

この条文も誤解を与えます。この前提として民法全体に関わる下記条文があります。

<第1条の3>
権利の乱用は、これを許さない。

つまり、合理的な理由がないと経営者としての権利の乱用を問われてしまいます。


結論

解雇は30日前に伝えるか、30日分の予告手当を支払わなければならないが、そもそもその解雇が妥当かどうかが問われる。

 

普通解雇

私傷病や勤務態度の不良等により労働義務が果たせない等、本人の帰すべき事由により会社が行うことです。制裁罰として行う懲戒解雇と異なる意味でも使われます。これを行う場合就業規則にそのことが書かれていないといけないので(限定列挙)、注意が必要です。普通解雇の主な事例を記載しておきます。  

試用期間満了または中の解雇     

  試用期間は解雇権留保付の雇用契約といわれ、いわゆる正社員とはゆるい扱いがなされます。ただし、ここでも合理的な理由や社会通年上の相当性は求められます。  

労務提供不能による解雇

  これは業務外が原因のケガや病気が主な事由となります。通常は休職に入って、それから休職期間満了による退職になりますが、休職を経ないで解雇する方法もあります。  

能力不足による解雇

  これは求められる能力が発揮できないケースですが、不当解雇か否かがわかれることがほとんどです。合法的になるには職務レベルの高さや会社として教育を行ったか、その他前提条件はかなりあります。     

職務不適正や組織への不適応

  就く職種を限定する職種限定契約ですと、その職種ができなくなれば、配転等の解雇回避義務はないので、合法的な解雇になりやすといえます。それ以外の場合は、さまざまな制約はつきます。  

業務命令違反による解雇

  転勤命令拒否や残業命令拒否などがあげられます。就業規則への記載等いくつかのルールと、経営者の権利の乱用か否かが問われます。

 

整理解雇<解雇4要件>

整理解雇は経営の状態が著しく悪化して雇用を維持できなくなったときに、または近い将来経営が間違いなく逼迫することが予想されるときに事業を継続するために、労働者を解雇するときに使われることばです。懲戒解雇や普通解雇がどちらかといえば労働者に原因があるとすれば、この整理解雇は会社に原因があるといえます。

最高裁の判例で、整理解雇に該当するための4要件が出され、合法か否かはこれに沿った判断がされるようになりましたが、最近では必ずしも要件とはみなされない判例も出てきています。

 

<整理解雇の4要件>

経営上の人員削減の必要性

  売上や利益の大きな減少等の経営危機が代表的な事例です。従来はこのままいけば倒産するくらいの要件が求められていたようですが、最近の判例ではそこまではいかない危険予防型のものも認められているようです。また、一方で株式の高配当や賃上げ等矛盾した行動がとられた場合には、人員削減の必要はなかった、との判断がされます。       

解雇回避の努力を尽くしたこと

  希望退職の募集や新規採用の中止、他部門への配転、資産の売却や役員報酬の減額等があげられます。最近では雇用調整助成金の活用もあります。「解雇をする前にやるべきことはやれ」ということではあります。

 解雇対象者の人選の合理性

  誰を解雇するかということです。客観的・合理的な基準を設ける必要がありますが、中小企業の場合人数も少なく、ほとんど特殊事情を抱えてますので、難しいケースも多々でてきます。一般的には年齢や勤続年数・成績や勤怠・職種や能力・生活への影響度などが基準となります。

労働者や労働組合への説明や協議

  整理解雇に関しては、労働者に真摯に対応することは大変重要です。上記3つのことを誠意をもって話すことです。時にはここで外部ユニオンが入ってくることもあり、方向がおかしくなることもありますが、労働者に対してはキチッと説明することは重要です。

懲戒解雇

これは労働者に会社の秩序を乱した等の責があり、制裁罰をあたえるものです。解雇予告手当は支払われない、失業給付には3か月の制限がかかる、経歴にキズがつく、退職金は支払われない等、労働者に大きなディメリットがあります。それだけに労働基準監督署への届け出、就業規則への事由の記載(限定列挙)等、運用にあたっての制限もあります。      

限定列挙(就業規則)

  懲戒解雇をするためには普通解雇と同様、就業規則に具体的な事例が書かれていなくてはなりません。勤務態度が著しく悪いこと(遅刻や欠勤)、横領、社内での賭博行為などです。

妥当性

  上記に書かれているからといって懲戒解雇が妥当とは限りません。労働者を排除することが必要なほどのことかが問われます。経営者の恣意があってはなりません。また対応によっては証拠があるかもポイントになります。また、当人の弁明の機会を設けたか等の運用も大事です。

退職金について

  退職金のある会社では、通常は懲戒解雇された労働者に退職金は支払われません。または一部不支給とします。しかしこれも就業規則への記載は必須です。また、退職後発覚した場合でも回収できるような規則は必要でしょう。

 

解雇をするにあたって

解雇はできれば避けたいことです。労働者にとって負荷は大変なものになりますし、会社にとっても法的リスク以外に在職者への不安感の拡大等大きなディメリットが生じます。しかしさまざまな経営環境のなかで、解雇以外に選択肢がないケースもでてきます。解雇するにあたっては下記留意点を参考に慎重に行ってください。

 

解雇にあたっての留意点      

 解雇が本当に必要か

  もちろん好き嫌い等の恣意的な判断はもってのほかですが、本人が原因であれば教育や配置転換、場合によっては条件の変更等、本人を活かす可能性を最後まで探るべきですし、会社が原因であれば、遊休資産の売却や役員報酬の減額、全体の賃下げ等、あらゆる努力をする必要がありあます。

解雇の法的根拠は

  本人に起因する普通解雇なのか、罰則も含めた懲戒解雇なのか、会社に起因する整理解雇なのか、またはダブルのか、その解雇の法的根拠を明確にする必要があります。そして、その法的根拠にもとづいた慎重な対応をする必要があります。

本人への説明

  どの解雇にしても本人に充分な説明をすることが大事です。誠意のある態度で接し、本人の弁明や主張にも真摯に対応することです。なるべくトップに近い幹部が対応することも大事です。

在職者への説明

  タイミングを考えなければいけませんし、場合によっては事後の対応にしたほうが良いかもしれませんが、解雇にあたっては残った労働者に大きな動揺が走るものです。今回の経緯、今後は雇用は絶対に維持する等、明確なメッセージは必須です。

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